大逆事件100年目の墓参り
顕彰会・新宮市長ら参加 2011年1月17日
100年前に大逆事件で処刑された新宮市の医師大石誠之助らの命日(24日)を前に、市民団体「大逆事件の犠牲者を顕彰する会」のメンバーらが16日、犠牲者の墓参りをした。大石の墓参りには、大石を名誉市民に推挙することに慎重な姿勢の田岡実千年市長も初めて参加した。
事件で有罪とされた「新宮グループ」の6人のうち大石ら3人の墓がある新宮市の南谷墓地には「顕彰する会」の二河通夫会長、田岡市長、市議ら約30人が訪れた。大石、高木顕明(けんみょう)(1914年に獄中で自殺)、峯尾節堂(みねお・せつどう)(19年に獄死)の墓に一人ずつ線香をあげて手を合わせた。
大石誠之助の墓に手を合わせる参加者=新宮市新宮
大石を名誉市民にしようと活動する二河会長は取材に「この1年、シンポジウムや名誉市民の問題で、多くの方に関心を持ってもらえたことを報告した」と語った。田岡市長は、大石を名誉市民に推挙することについて「市議会が全会一致で賛成いただける状況になれば考えたい」と話した。
新宮市の名誉市民は市の条例では市長が議会に提案することになっている。田岡市長が慎重なため、昨年11月に推進派の市議有志が議員提案での推挙を目指し、条例改正案を出したが否決された。その後、「顕彰する会」が市長の推挙と市議会の尽力を求める請願を提出。14日の総務委員会で採択され、3月定例会の本会議で議論される見通し。
大逆事件は、明治天皇暗殺を企てたとして1910年5月から社会主義者らが逮捕され、翌年1月に幸徳秋水ら12人が死刑、12人が無期懲役になった。「新宮グループ」の大石と成石平四郎が死刑、4人が無期懲役になった。
成石と兄・勘三郎(31年死去)は田辺市本宮町耳打に、崎久保誓一(55年死去)は三重県御浜町に墓があり、「顕彰する会」のメンバーらはこの日すべて訪れた。(三島庸孝)
大石誠之助=新宮市立図書館提供
アサヒ・コム 2011年1月17日